

秋の空気が少しずつ深まってくると、どこか心がそわそわしてくるものですね。
「そろそろ、きれいな景色に会いに行きたいなぁ」と思ったその気持ちのまま、ふらりと小諸市の懐古園へ紅葉を見に行ってきました。
城下町の面影が残る小諸の街は、どこか昔懐かしくて、歩いているだけで穏やかな気持ちになれる場所。
そんな小諸の秋は、とにかく色鮮やかで、そして優しい。木々が赤や黄色に染まり、風がそっと色を運んでいくような、静かで美しい時間が流れています。
今回は、懐古園の紅葉散策と、その帰りに立ち寄った老舗のそば処「丁子庵」でいただいた、香り高いおそばについてご紹介します。
もし小諸方面へ行く予定がある方は、ぜひ旅のヒントにしていただけたら嬉しいです。
1.小諸城址「懐古園」へ紅葉を見に行ってきました
小諸市の象徴ともいえる「小諸城址懐古園」。
長野県内の紅葉スポットは数あれど、ここほど“静かで、深みがあって、物語を感じる場所”はなかなかありません。
私が訪れた日は、晴れすぎず曇りすぎず、優しい秋の光が園内を包み込むようなちょうどよい天気。
観光地として人気のある場所なので週末は混雑することもありますが、この日は大混雑というほどではなく、お散歩を楽しむ人や紅葉を写真に収める人たちが、思い思いのペースで歩いていました。
懐古園は、日本で唯一「城下町より低い場所にある城」といわれる“小諸城”の名残を感じられる場所。
石垣や門が今も美しく残り、城跡とは思えないほど豊かな自然と調和していることが特徴です。
園内に一歩入ると、歴史の深さと自然の力強さが息づいているような、そんな気配に包まれます。
そして何より、この季節は紅葉が本当に見事。
入り口近くの木々からすでに赤や黄色が鮮やかに広がり、これから進む園内への期待が一気に高まります。



2.園内の紅葉スポット紹介
懐古園は園内のどこを歩いても紅葉の美しさを楽しめますが、今回は特に鮮やかだったポイントを中心にご紹介します。
● 三の門周辺の紅葉
まず足を止めずにはいられないのが、国指定重要文化財でもある「三の門」。
重厚な門の存在感と、両脇に広がる紅葉の色合いがとても相性よく、まるで時代を超えた景色の中に入り込んだような感覚になります。
黒い木組みと赤いもみじのコントラストは、思わずシャッターを切りたくなるほど。
観光客が立ち止まり写真を撮っている姿も多く、やはり懐古園の象徴的な場所だと改めて感じました。


● 紅葉のトンネル
園内の小道を歩いていくと、頭上を覆うように枝を広げた紅葉のトンネルが現れます。
ここは個人的に一番のお気に入りスポット。
風が吹くたびに葉がふわりと舞い、まるで赤や黄色の花びらが降ってくるような幻想的な時間が流れます。
地面に敷かれた落ち葉のカーペットもまた美しく、歩くたびにサクサクとした音が足元から響き、その感触も秋ならでは。
自然と顔がほころぶような、優しい気持ちになれる場所です。




● 白鴎橋からの絶景
園内の名所のひとつである「白鴎橋」。
深い谷にかかる橋から見下ろす紅葉は圧巻で、まるで絵画の世界に迷い込んだような美しさがあります。
谷底へと広がる紅葉がグラデーションのように重なり、赤・橙・黄色・緑がひとつのキャンバスのよう。
遠くに見える山の稜線と相まって、深呼吸したくなるほどの景色が広がっています。
風が吹くと谷に向かって葉が舞い落ちる姿が見え、それがまた何とも言えず美しい。
この景色を見るためだけに懐古園を訪れても良いのでは、と思うほどの秋の名場面です。


● 天守台跡から見える小諸の街
天守台跡に登ると、懐古園の内側だけでなく、小諸の街を一望することができます。
城下町らしい地形の特徴がよく分かる場所で、紅葉越しに街並みや遠くの山々を眺めていると、歴史の流れと自然の営みを一緒に感じられます。
晴れ間からこぼれる柔らかい光が木々を照らし、葉がキラキラと輝く瞬間には、思わず立ち止まりたくなるほど。
懐古園が“写真好きの聖地”と呼ばれる理由がよく分かります。


3.秋の懐古園で感じた魅力
紅葉そのものの美しさはもちろんですが、懐古園の魅力はそれだけではありません。
● 歴史と自然の調和
城跡でありながら公園として整備されている懐古園は、人工物と自然のバランスが絶妙。
石垣に積もった落ち葉、古い木々の間からのぞく空、しっとりとした土の匂い。
時間の流れがゆっくりと感じられ、心が少しずつほどけていくような感覚になりました。


● 観光地なのに“静けさ”がある
多くの人が訪れる場所でありながら、園内には不思議な静けさがあります。
ゆったり散策する人々の足音すら、木々の間に吸い込まれていくような落ち着いた雰囲気。
どこかで鳥の声が聞こえたり、風が枝を揺らす音がしたり、小さな自然の音が心地よく響きます。


● 何度訪れても違う表情に出会える
紅葉の色づきは日によって違い、太陽の位置や光の強さで影の落ち方が変わるため、訪れるたびに景色が違って見えるのも魅力のひとつ。
「今日の懐古園はどんな顔をしているだろう?」と、また訪れたくなります。
今回の散策も、何枚写真を撮ったかわからないくらい、美しい景色が次々と現れる時間でした。


4.ランチは老舗そば店「丁子庵」へ
懐古園をたっぷり歩き、気づけば体がほどよく温まり、お腹もすっかり空いていました。
そんなときに向かったのが、懐古園からすぐ近くにある老舗そば処「丁子庵」。

● お店のたたずまい
丁子庵は、歴史ある建物の落ち着いた雰囲気と、そばの香りが漂う、なんとも居心地のいいお店。
季節を問わず人気で、地元の方から観光客まで多くの人に愛されています。
外観は素朴ながら風格があり、のれんをくぐると木の温もりを感じる空間が広がっています。
店内はすっきりとしていて、昔ながらのそば屋の雰囲気を残しつつ、丁寧に整えられた空間がとても心地よい。
● 注文したメニュー
今回は、基本を味わいたくてシンプルなお蕎麦と天ぷらのセットを注文しました。
運ばれてきた瞬間、ふわっと立ち上るそばの香りに思わず深呼吸してしまうほど。
細めで綺麗に揃った麺はコシがあり、噛むごとにそばの香りが広がります。
つゆは少し甘みがありつつもしっかりとした風味で、麺とのバランスが絶妙。
天ぷらもサクッとしていて油っぽさがなく、季節の野菜が彩りを添えていました。
観光の合間にちょうど良い量で、歩いたあとに食べるおそばのなんと美味しいこと。
身体に染み込むように優しい味で、ひと口ごとにほっと息がこぼれます。


● 接客とお店の雰囲気
スタッフの方々の対応も丁寧で、落ち着いた時間を過ごすことができました。
混雑していても慌ただしさを感じさせず、手際よく注文をとり、料理を提供してくださいます。
お店全体が穏やかな空気に包まれていて、観光の興奮を少し落ち着かせてくれるような、そんな安心感がありました。
● 食後の満足感
お腹も心も満たされて、外に出た瞬間に感じる秋のひんやりとした空気がまた心地よく、
「やっぱり丁子庵に来てよかったなぁ」としみじみ思えました。
懐古園からのアクセスも良く、観光とランチをセットで楽しむのにぴったり。
小諸に来たらぜひ立ち寄りたい、おすすめの一軒です。
5.アクセス・基本情報まとめ
● 懐古園
・所在地:長野県小諸市丁311
・料金:季節により変動、紅葉シーズンは有料期間
・営業時間:9:00から ※季節ごとに異なるため公式サイト確認推奨
・定休日:12月から3月第2週までの水曜日、及び年末年始(12月29日~1月3日)は休園です
・駐車場:周辺に複数あり
・公式サイト:https://www.city.komoro.lg.jp/kaikoen/index.html
● 丁子庵
・所在地:長野県小諸市本町2丁目1-3
・営業時間:11:00〜(閉店時間は季節により変動)
・定休日:不定休(公式情報をご確認ください)※4月から11月は無休で12月から3月は毎週火曜と水曜が定休日
・公式サイト:https://choujian.jp/
懐古園から丁子庵までは徒歩圏内なので、紅葉散策のあとに自然な流れで立ち寄れます。
6.まとめ
今回の小諸旅は、短い移動距離のなかにたくさんの魅力がぎゅっと詰まっていました。
紅葉の「懐古園」は、静けさと鮮やかさが同居する特別な空間で、歴史や自然が好きな方はもちろん、ゆっくり散歩したい人にもぴったりの場所。
そして「丁子庵」のおそばは、歩いた体に優しく染みわたり、旅の満足感を一段と高めてくれました。
小諸市は何度訪れても違う表情を見せてくれる場所です。
これからの季節、小諸の旅を計画している方は、ぜひ懐古園と丁子庵の組み合わせを楽しんでみてください。
きっと、忘れられない秋の一日になるはずです。


投稿者プロフィール

-
趣味はおいしいものを食べること、なんて大人ならば基本中の基本かもしれませんが、おいしいものをいただくと幸せな気分になれますよね。
そんな小さな幸せを日々探しています!
みなさんの情報をぜひお寄せくださいね。





